雛壇ストーリー
登場人物1. 女雛(俗称:おひなさま)素晴らしい装束の世界を知ろう
女雛の着ている衣装は正式には五衣唐衣裳(いつつぎぬからぎぬも)と言います。名前のごとく主に「五衣(いつつぎぬ)+唐衣(からぎぬ)+裳(も)」で構成されており、俗称:十二単衣(じゅうにひとえ)と呼ばれています。
登場人物2. 男雛(俗称:お内裏さま)さすがのファッションセンス!
男性装束の花と呼ばれる束帯(そくたい)。 俗称として「衣冠束帯(いかんそくたい)」という言い方を聞きますが衣冠と束帯は別々の装束です。束帯は裾(きょ)を後ろに長く引くのが特徴です。写真では裾をたたんで背中に当てていますね。男性の第一礼装なのです。
登場人物3. 三人官女 持ち物「長柄(ながえ)」
長柄(ながえ)長い柄のある酒器で「銚子」とも言います。盃に酒を注ぐもので長い部分を長柄(ながえ)というので「長柄」と呼んでいます。ところで「お銚子」といわれてイメージするものは、役割と注ぎ口でいえば確かに長柄=銚子ですが、器の形でいえば「徳利」(とっくり)なのだそうです。
登場人物4. 三人官女 持ち物「島台(しまだい)/三方(さんぽう)」
島台(しまだい)祝儀の飾りの置物。名前の由来は入江の形状をなした島の姿に吉祥文様を配していることから。中央の女官の持ち物は島台の場合と盃の場合があります。
登場人物5. 三人官女 持ち物「提子(ひさげ)」
提子(ひさげ)鍋に似た形の金属製の器。ここには白酒が入るのでしょう。銚子の一種でかつては宴席で酒を注ぎ勧めるのに使用されていたものですが室町時代以降は銚子が晴れの席に用いられるようになりました。提子は銚子に酒を加えるためのものに変わりました。
登場人物6. 五人囃子「謡(うたい)」朗々として自然体
扇 能の声楽部分である謡をうたう重要なお役目。主役といえるシテ役はもちろんワキ役からバックコーラスまで感情を代弁して自由に謡います。ただしその感情は最小限にして・・・。うなるような渋い発声は師匠の教えの賜物かも。
右手に持っているのは扇です。謡う際にはそれを構え、休みの際には下ろします。謡はもちろん、扇の所作も芸のうち。
登場人物7. 五人囃子「笛(能管)」異次元空間を演出するヒシギの魅力。
笛(ふえ)/能管(のうかん) 竹でできています。唯一のメロディ楽器でありながら打楽器的なリズムを刻む奏法を主としています。また管内に細い竹を1本はめ込んであることで、「ヒシギ」と呼ばれる鋭い最高音を出すことができます。幽玄の世界を鑑賞している内に、つい眠ってしまっても大丈夫、能管のだすヒシギの音で現世へ戻れます。
登場人物8. 五人囃子「小鼓(こつづみ)」一瞬を貫く音が魅力!
小鼓(こつづみ)鼓は、桜の胴に、表裏2枚の馬の革を置き、「調緒(しらべお)」という麻紐で締めあげた楽器です。左手で調緒を持ち、右肩にかついで右手で打ち、調緒のしぼり方、革を打つ位置、打ち方の強弱によって音階を出すことが出来ます。打楽器でありながら能でチ、タ、プ、ポ、という名前がつけられている4種類の音を打ち分けることができます。演奏中にはつねに適度な湿気が必要で、革に息をかけたり、裏革に張ってある紙を唾でぬらしたりして調節します。鼓は一瞬を貫く音が魅力!
登場人物9. 五人囃子「大鼓(おおつづみ)」空間を打ち破る気合の世界
大鼓(おおつづみ)材質、構造はほぼ小鼓に等しく、全体的にひとまわり大きくなっています。左手で持って左膝に置き、右手を横に差し出して強く打ちこむ。小鼓と違い左手で調緒(しらべお)の調節をしないために、音色の種類は、右手の打ち方によって分けます。こちらは右腕を大きく上げて強く打つ音(チョン)、弱く打つ音(ツ)、抑える打ち方(ドン)。鼓と反対に湿気を極度に嫌うので、革は演奏の前に炭火にかざして乾燥させます。「ヤー」「ハー」という掛け声にも注目!気合の世界に魂が震えるかも。
登場人物10. 五人囃子「太鼓(たいこ)」この音が聞こえると!ヒュードロドロ~の知らせ?
太鼓(たいこ)太鼓は、いわゆる締太鼓のことで、構造は基本的に鼓(つづみ)とかわりません。 革は牛革で、撥の当たる部分に補強用の鹿革を貼ることが多いです。音は響かせない小さな音(ツクツク)と響かせる大きな音(テンテン)の2種で、四拍子のリズムを主導する役割を担っています。能楽で太鼓が入る場合は基本的に死者の霊や鬼畜の登場する怪異的な内容の曲のみで、そのほかの場合には笛と大小の鼓のみで演じます。ヒュードロドロ~
登場人物11. 随身(ずいじん)/俗称 左大臣 服制より 近衛中将(このえのちゅうじょう)『たとえ火の中、水の中』お内裏様へ一生を捧げる忠義者
儀仗の剣(ぎじょうのけん)「儀仗(ぎじょう)」とは儀式に用いる装飾的で形式化した武器をさします。武官ならではの特徴というと武器ですが刀身にも刃はつけなかったようです。
登場人物12. 随身(ずいじん)/俗称 右大臣 服制より 近衛少将(このえのしょうしょう)晴れの舞台に立つ花形の存在。イヨッ!色男
巻纓冠(けんえいかん)男雛は天皇のみ着けられる立纓(たちえい)でしたがこちらは巻いてあるので巻纓(まきえい)ですね。巻纓冠は警固の任務の際にかぶるもの。
登場人物13. 仕丁(しちょう)/持ち物 熊手(くまで)その顔の表情から泣き上戸とも呼ばれています。故郷のことを思い涙しているのでしょうか。
熊手
登場人物14. 仕丁(しちょう)/持ち物 ちり取りそのお顔の表情から怒り上戸とも呼ばれています。顔が赤くなっていますね。怒ると損だけど腹が立つのは納まらない・・・
ちり取り
登場人物15. 仕丁(しちょう)/持ち物 箒(ほうき)
さて、雛壇の最後を飾る登場人物です。箒を持つ満面笑みのこのお方、魔法使いではありません。そのお顔の表情から笑い上戸とも呼ばれています。『笑う門には福来る。』幸福は笑っていればやってくるのか!よし実践あるのみ。和っはっハー
箒(ほうき)